[写真館の配列・凡例など]  

 

■多摩川の概要

源 流: 山梨県塩山市(埼玉県大滝村との県境)・笠取山の水干(標高1860メートル)
流 路:

山梨県塩山(えんざん)市を流れる一の瀬川が山梨県丹波山村で柳沢川を合流し、火打石谷や小常木谷を合せて丹波川となり、奥多摩湖の小袖川流入口から下流で東京都奥多摩町に入る。
小河内ダムを出ると多摩川と呼ばれるようになり、御岳の西で東京都青梅市に入り、以後羽村市、福生市、昭島市、日野市、府中市などを経て調布市に入る。
鶴川街道多摩川原橋下から、右岸側は川崎市多摩郡となり、以後多摩川は東京都と神奈川県の都県境を下るようになる。
左岸は狛江市を経て東名高速多摩川橋の上手で世田谷区に入り、右岸側は多摩川橋の下手で高津区に入る。第三京浜の下手で右岸は中原区に入り等々力緑地の対岸で左岸は大田区に移る。右岸はこの後幸区を経て川崎区で河口にいたる。

河 口: 大田区の羽田空港と川崎市川崎区浮島の間で東京湾に注ぐ
流域面積: 1240 km^2
流路延長: 138 km
流域人口: 1都2県30市町村・425万人(1995年)
管理: 昭和41年に多摩川は一級河川となり、河口から万年橋までは国の直轄管理区域となっている。


■六郷川の概要

多摩川の汽水域(海水が混じる最下流部)は六郷川という別称で呼ばれることがある。(多摩川は近世には玉川と書かれることも多い。)
多摩川の最下流部が六郷川と呼ばれるようになったのは、江戸時代以降のことらしいが、近世に現在の大田区を中心とする広い地域が六郷と呼ばれていたため、単に地名を冠してそのように呼ばれたのではないかと思われる。
(江戸時代(寛政9年)に刊行された「東海道名所図会」が「玉川」について、「六郷川の本名なり。又多摩とも書す。〜(中略)〜 海道筋にては六郷里なれば六郷川といふ。むかしは大橋あり。〜」 と記しているように、かしこまった書物などを別にすれば、近世における「六郷川」は別称というよりむしろ多摩川最下流部の通称であり、普通一般にはそのように呼ばれていたようである。)
近代になって最下流部一帯が京浜工業地帯の中心地となり、周辺の環境が著しく変貌していくにつれ、多摩川の最下流部では、この川を多摩川と呼ぶ人は殆どいなくなり、少なくとも昭和40年代頃までは、六郷川という呼称しか使われなかったと言っても過言ではない。(もちろん地理上では多摩川と同一の川であるとの認識はあったが、当時多摩川という響きは上流方面の綺麗な川のことを意味しており、この地の川については六郷川と呼ぶのが普通だった。)
その後多摩川の環境改善が図られるようになると、水質向上などの実績が上るのに合せるように、行政サイドでも汚い川というニュアンスがあった六郷川という呼称の一掃を目指したようである。旧六郷川の範囲に多摩川町が作られ、両岸に多摩川名を冠した夥しい数のマンションが出来るようになった。現在では住民も普通一般にこの川を多摩川と呼び、六郷川という呼称は死語に近いものになっている。
ただ多摩川と呼ばれるようになったとはいっても、上流部と河口近辺では川も流域もその姿が大きく異なるという事情は変らない。この写真館では多摩川のうちごく河口に近い部分(長さにして約10%程度)しか取上げていないので、表題を多摩川とするのはやはり適当ではないという感じがする。
そこでサイトを開設した当初は、古い呼名ではあるが、あえて六郷川という呼称を持ち出すことにして、タイトルを「六郷川の四季」としていた。近代の汚れた川という意味ではなく、近世の呼び方に準じ最下流域に限定した範囲という意味であった。
古来、多摩川のどこから下流を六郷川と呼称したかという定義に厳密なものはないが、この写真館では([参考1] に準じ)、丸子橋近辺(河口から13km余り)から、右岸の河口先の浮島(-3km)までを対象範囲としている。

多摩川は中流から下流にかけて、左岸側の武蔵野台地(立川段丘から久が原台)、右岸側の多摩丘陵(及び下末吉台地)に挟まれた、幅2〜3キロメートル程度の帯状の谷底平野を流れ下り、ガス橋の辺りから扇状地(デルタ)が展開するようになっている。六郷川の範囲は多摩川下流が三角洲に出るやや手前から河口までということになる。
沖積平野は概ね左岸側の池上街道より南、右岸側の鶴見川より東に広がり、汀(みぎわ)線は産業道路に沿う近辺にあった。左岸の東糀谷界隈・右岸の大師河原村の海側一帯は、近世以降人為的に干拓された部分、現在川岸の延長部になる左岸の空港敷地・右岸の浮島町はその後の埋立地である。

江戸時代の多摩川下流の沿岸地域は、左岸は荏原郡世田谷領・六郷領、右岸は橘樹(たちばな)郡稲毛領・川崎領と呼ばれていた。この写真館で六郷川としている範囲、即ち現在丸子橋がある直ぐ上手の亀甲山(かめのこやま)から下流部は、多摩川の左岸が近世に荏原郡六郷領に接して流れていた部分に相当する。現在の行政区画では、左岸側は全域が東京都大田区に属し、右岸側は神奈川県川崎市中原区の一部から幸区・川崎区に属する。

ところが日本全国には秋田県や山梨県など他に幾つも六郷町という地名があり、六郷川という名称を使うのは必ずしも適当ではないと思うようになった。川名としては多摩川が遥かに一般的であることから、多摩川の最下流部の意味で、タイトルを「多摩川の汽水域」と改称することにした。(2004.11.25)
潮の干満の影響により、水位や流速が変化する範囲は「感潮域」と呼ばれ、その範囲は通常かん水が遡上する区域よりは上流にまで及ぶ。六郷川の場合にはたまたま調布に堰堤が作られたため、六郷川の範囲は、河口側から海の影響を受ける「感潮域」の範囲にほぼ一致している。
汽水というのは海水と淡水の混じりあった(塩分濃度の薄い)水のことで、そこに棲む魚介類などの生物を対象に水環境を説明する時に使われることが多い。(現在この川にマハゼはあまり見られないが、昭和30年代までの汽水域は、ハゼが釣れる範囲として分かり易かった。) 当サイトが水中の生物には殆ど触れていない、流域の風景写真集であることを考えると、「汽水域」という表現が必ずしも適当なタイトルとは思わないが、河川管理用語に近い「感潮域」よりは一般的かも知れない。とりあえず他に適当な言葉が思いつかないので、Ver.5.1の時点から暫定的にタイトルを「多摩川の汽水域」に変え、「六郷川の四季」をサブタイトルとして残すことにした。


■写真館の概要

写真は沿川住民の目線で現在の川をとらえたもので、意図的に綺麗な風景を求めて撮影し、鑑賞に堪えると感じた出来栄えの写真を選択して掲載しました。
写真に創作的な加工はしていませんが、汚いもの、見苦しいものなどは撮影時に意識的に避けており、ドキュメンタリー性には全く配慮していません。また単にガイドとしての意味しかないような写真も没にしていますので、色々な意味で偏りはあると思います。(説明上有効と思われる写真をギャラリー外の「参考写真」として補足掲載しました。)
地域的なウェート付けは特になく、全体枠(50MB)の中で良く撮れた写真から順に割り振ったものです。配置は地理的な順に従って並べてあり、四季を意識した構成ではありません。表題の「四季」は、単に四季を通じて撮影したものを掲載しているという意味です。

撮影した界隈に関わる記事を出来る限り多く蒐集して紹介しました。内容は主として先人の著作物からの引用になっていますが、僅かながら私見を織り交ぜた箇所もあり、「引用」を明記し得なかった部分があります。

制作に着手してから1年近く経ったので、とりあえず出来た範囲でアップすることにしましたが、今後も機会ある毎に写真を更新し、注釈についても訂正加筆に心掛けていきたいと思っています。 (2003.2.28)

ギャラリー開設後1年間に、追加及び差替により、新に119枚(2003年中に76枚、2004年に入ってから43枚)の写真を新規掲載しました。初期の配置が崩れ、サムネイル下にギャラリー写真が無いケースが生じています。 (2004.3.20)

Ver.9.4-2 (2006.10.28) の段階でサイトを移転、独自ドメイン(tamagawa-kisui.jp)を取得し、サーバーの容量を150MB(その後200MB)としたので、ギャラリーに新規写真を掲載するたびに、同量の既掲載写真を削除する必要は当面なくなり、2002年当時撮影した写真を幾らか残すことが出来るようになった。

Ver.18.1-1 (2008.12.11) 時点でのギャラリー掲載写真(800×600)数は、第1部 丸子橋周辺 118枚、第2部 ガス橋周辺 38枚、第3部 多摩川大橋周辺 43枚、第4部 多摩川緑地 191枚、第5部 六郷の橋梁群 83枚、第6部 六郷橋から大師橋 402枚、第7部 河口周辺 252枚、以上合計1,127枚になっています。

 (凡例などこのHPのより詳しい「見方」については、右の説明ページをご覧下さい。)   [HPの見方について]
 
 
■参考図書

「多摩川誌」「新多摩川誌」 編集委員会編著 河川環境管理財団発行
「大田区史」「(資料編)地誌類抄録」 区史編纂委員会編集 大田区発行
「史誌(各号)」 大田区史編纂室編集 大田区発行
「羽田史誌」 羽田神社発行
「川崎市史」 川崎市編集発行
「川崎誌考」 山田蔵太郎著 (株)国書刊行会
「大田区の歩み」 宮川茂著 大田区総務部発行
「多摩川における渡しから橋への史的変遷」 平野順治著
「川崎の町名」 日本地名研究所編 川崎市発行
「大田の自然」 大田区教育委員会編集発行
「大田区史跡散歩」 新倉善之著 学生社
「水恩の人」 小林孝雄著 出版文化社
「羽田空港物語」 上之郷利昭著 講談社
「東京の原風景」 川添登著 NHKブックス
「多摩川下流の植物(六郷川の河原の野草)」 古屋のり子著 自費出版図書館編集室



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