<参考26> 河川敷の春から初夏にかけての草木と花
【バラ科】 バラ属 : テリハノイバラ
この特集の範囲では、六郷橋の川下側ではかなり大きな一株が川岸近くにある以外には殆ど見ず、川上側の護岸の雑草帯の中に多く見られる。
多摩川緑地の水路側の土手では、瓢箪池の裏に下手でオシロイバナや野化したランタナなどと混在してあり、上手では水路に面して密生しているが、足場が悪くこちらは全体を確認できない。さらに上手の階段護岸の下の方に数株があり、最も良く確認できる株はずっと多摩川大橋の方に寄った位置(トミンタワーの辺り)の護岸のかなり下段にある。
花弁は白く、咲きたての雄蕊は葯がオレンジに近い黄色をしているが、同時に黒褐色に変わっているものも多い。雄蕊が黒褐色に見える花は既に花粉を失った花なのではないだろうか。
ところが7月初旬に見たところ、このテリハノイバラはアレチウリに乗り掛かられ、部分的には枯れ始める兆候が出ていた。
このことを発見した時、取り敢えず上に覆いかぶさっていた蔓を、出来る範囲で取除くことを行った。多摩川大橋の上手にはクズやアレチウリが多く、川岸の木の多くはその餌食となっている。然しこの辺りではクズは無くアレチウリも少ないので、この状態は数少ない事例で、思い掛けない出来事だった。
確かに7月の処理は蔓を取除いただけで、甘く考えていたことを思い知った。そこで今回は出直すこととし、数日後に、藪に踏み込める衣服を用意し、作業用の手袋などの体勢を整えて、本格的にアレチウリを全撤去することにした。下手側から水辺側に掛けてはヨシなどが密着し、かなり困難な作業となったが、蔓を取除くことより、アレチウリの根元を見極め、それらを悉く引き抜くことに全力を挙げた。根元を引き抜くことで、結果的に蔓も殆どを取除くことが出来た。取ったものはその辺に置くと、又蘇る恐れがあるので、すべて川に放った。
これは10月初旬で、全体に緑が復活してきた様子が分かる。赤い実もあちこちに見られるようになり、アレチウリの気配も全く窺われず、9月の救済が成功したと安心した。