<参考26> 河川敷の春から初夏にかけての草木と花
【クワ科】 クワ属 : ヤマグワ
昨年注目していた矢口橋上手の一株も、案の定赤い実を付けていて、昨年の見立てが誤っていたことが証明された。実の色は様々で、すでに熟した黒紫色に近い色に変わっているものも多く見られ、その一方脱色したように白色に近い薄黄土色のものも結構見られた。
2014年4月は中旬と下旬の2度、ガス橋方面を見に行くため、この前を通っているが、興味が無く殆ど確認をしていなかった。
六郷橋緑地の散策路の角にある大きなヤマグワは、2014年にアレチウリに上られ、半分以上の枝がアレチウリに被われて光合成を絶たれ枯れてしまった。ここのクズは未だヤマグワの木に巻き付き上ってくるまでには至っていないので、周辺住民の誰かが取り除いているのかも知れない。然し、たとえ上られなくても地面を被われてしまうだけで木が精彩を欠いてしまう例を、大師橋緑地先のアカメガシワ(雄株)で見ているだけに心配だ。
一つの枝に異なる葉が付くことはない、という記述を見たことがあるが、それは誤りで、すぐ下の写真にあるように、この枝では先端に丸い葉が見られるものの、後方の葉は皆3裂している。
このヤマグワの背後は汚いヨシに覆われた泥沼のようになっている。この辺りは大正時代までの蛇行水路の時期には左岸の陸地だったが、昭和10年代に異常な掘削による水域の拡幅が行われ、この角から六郷橋までの残された部分は激しい浸蝕を受けて水路が出来、湿地のようになった。やがて掘削された部分に堆積が進んで旧水路に沿って洲が発達し、これが本流の新たな左岸が形成するようになっていった。六郷橋側の浸蝕地も埋め立てられ削平されて平坦な陸地を回復するが、異常な掘削を受けて水路に編入された方は湿地となり、新しい左岸と河川敷の間に挟まれた干潟を形成するようになるが、この塩沼地は六郷水門側に唯一本流との出入口を持つ潟湖状となったため、このヤマグワの背後辺りの最奥部は既に堆積が進んで、満潮時にも水面が見えない泥沼状になっている。