<参考26>  河川敷の春から初夏にかけての草木と花


     【カタバミ科】  カタバミ属 : カタバミ・イモカタバミ・ムラサキカタバミ

 






 


 
4月にピンク色の小さい花が密集し、絨毯風に低く広がって見えたら、カタバミ科カタバミ属のイモカタバミ(芋片喰)である。葉はクローバーのような感じだが、よく見ると3つの小葉はハート型をしている。花は1.5cm、背丈は15cm程度である。
この界隈には群落というほど大きな生息地はないが、多摩川緑地管理事務所上手の堤防川裏側にまとまって見られるほか、多摩川大橋下手のヤマハボートスクール近辺の堤防法面にも少しある。
カタバミ属は世界中に分布し数百種類あるといわれる。いずれも似たような五弁花だが、日本に自生するカタバミの花は黄色でアカカタバミと呼ばれるものも、葉が赤っぽいだけで花は黄色である。

イモカタバミ、ムラサキカタバミは南アメリカ原産の帰化植物で、ともに花の色は紫色かピンク色、イモカタバミは花弁の色が淡く中心部が色濃い特徴があり、花芯にある葯(やく:オシベの花粉袋)が黄色いことでも区別される。この種は地下に芋状の塊茎を持つことからこの名がある。
生活は余裕か怠慢か、陽が西に傾く頃には早くも花弁を閉じてしまうし、朝は陽がかなり高くなるまで花弁を開かない。



イモカタバミは多摩川緑地の周辺では至る所で見られる繁栄種だが、特に緑地管理事務所のある地点から上手側の堤防裏側の広い側帯部分では古くから塊茎を広げて大繁盛している。
刈取りは大歓迎で、自身丈が低いこともあるが、塊茎で維持されているので、地上に他の草種が消える度に浸食範囲を広げ、一面ピンクの絨毯が敷き詰められたようになる。


 


 
イモカタバミが何処にでもあるのとは対照的に、ムラサキカタバミの方は滅多に見ることが無い。
左の写真上から3枚は、2015年5月30日にJR橋梁の下で、ヘビイチゴを撮っている最中に発見して撮ったもの。 丁度その前頃、近くでヒナキキョウソウを撮ったりしていたので、一寸キキョウに似ているとは思ったが、花は小さくムラサキカタバミは見たことが無かったので、何の花やら分からなかった。そばにカタバミの葉はあったが、花の無いケースも皆無ではないので、直ぐにはそれがこれ自身の葉とは思わなかった。

ムラサキカタバミの原産地は南アメリカで、我が国には江戸時代末期に鑑賞用に導入されたらしいが、その後野化して、関東、甲信越から以西の全域に移入分布している。畑作物や芝に影響する害草とみなされ、外来生物法で要注意外来生物に指定されている。


4枚目のこれは、京急の鉄橋下の通路脇で、同じ2015年の6月24日。5月までは京急の鉄橋下でタコノアシを何株か確認していたので、もうそろそろ花を咲かせる時期ではないかと思って、鉄橋下を入念に探したが遂に発見出来なかった。セイタカアワダチソウやヨシなど周辺の草丈が伸びて埋没してしまったらしい。
通路脇も含め前線部は一帯にハルシャギクが咲き誇り、そんな中に僅かに違うものとして、このムラサキカタバミがあった。

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