<参考26> 河川敷の春から初夏にかけての草木と花
【アブラナ科】 タネツケバナ属 : ミチタネツケバナ・タネツケバナ
【アブラナ科】 ナズナ属 : ナズナ
【アブラナ科】 キバナスズシロ属 : キバナスズシロ (ルッコラ)
一つ一つの花の大きさはミリオーダーでオオイヌノフグリ並なので、アブラナ科の花特有の4弁花であることなどまでは見難いが、頭状花序のような形で無限花序を形成し、花茎が立ち上がっていくので、注意して歩いていればその存在自身を見損なうことはない。
ただ注意しなければならないのは、この時期、同じような場所に、同じように小さな花を咲かせている種に、同じアブラナ科のナズナがあるので、これと見間違えないことだ。ナズナも無限花序で頭状花は似たような密集型なので、花だけを見ていては双方の区別は紛らわしい。然しナズナは逆三角形の果実を出し、俗にペンペン草と呼ばれるように、先端に花を咲かせている茎の途中に三角形の果実が、次々とぶら下がった形になるので、それが十分に見分けのポイントになる。
一方ミチタネツケバナの方の果実は、棒状の長角果で、この棒状の鞘が長く伸びるので、やがて花は多くの棒に囲まれたような様な格好になっていく。
ミチタネツケバナとの見分けは、長角果の伸び方の違いが有力とされる。即ちミチタネツケバナの長角果はいきなり真っ直ぐ上方に伸びていくが、タネツケバナの長角果はじめ斜め上方に伸びるような格好で一旦懐を明け、それから上に伸びていくような形をとる。同じ棒状の長角果ながら、真っ直ぐ伸びるか鈎形のような格好を取るかの違いがあるとされる。
春の七草の一つとして有名で、食用になるが、民間薬として薬草としても利用されていたようである。
荒地にも生えることから、荒廃した様子を形容して、「ぺんぺん草も生えない」などとして使われる。
短角果の倒三角形の平たい形が三味線の撥(ばち)に似ていて、三味線を弾いた音をペンペンということから俗にペンペン草と呼ばれたようである。
確かに子供の頃には、この草は身の回りのどこにでもあって、子供の遊びとして、多くの果実が形成された茎を千切り取って、果実を一つ一つ下に引いて皮一本でぶら下げるようにし、それを振ってシャンシャンという音を愉しんだ記憶がある。
欧州(特にイタリア)ではルッコラと呼ばれて、古くから葉野菜として普通に用いられてきたものらしい。サラダに混ぜて生食にされるほか、炒め物やおひたしにされたり、料理の添え物としても用いられる。種子はハーブティーになる。
左の3枚を撮ったのは2015年3月末で、場所は南六郷3丁目堤防の川表側法面の上部。六郷水門に近づく上手側の位置で、この近傍はほゞ、堤防拡幅工事が行われる前に、ウマノスズクサがあった場所。ウマノスズクサは工事で一掃されてしまったが、工事の上塗り用に持ち込まれた土にツメクサなどに混じってこの種子が含まれていたのだろう。花は咲いたが定着するような雰囲気ではなかった。