<参考36>  河川敷の夏から秋にかけての草木と花


     【ツユクサ科】  ムラサキツユクサ属 : トキワツユクサ

 

上の3枚は2014年5月下旬に、堤防一里塚の上手堤防裏の特殊な場所で撮った。ここには園芸種起原の種や野種としても稀な種が顔を出す面白い場所なので、除草の際にも幾らか手抜きをされ、特に法尻付近は殆ど刈られることがない。
チョコチョコ覗いて、今は何が見られるかなと期待するところだが、3月初旬位までスイセンが咲いていた(この年は強風続きで殆ど倒れた状態だった)場所に、5月下旬にはトキワツユクサが見られた。
ここでしか見られないとなると参考レベルの取り扱いになるか迷うところだが、一週間後に、偶々京急から六郷橋に抜ける川沿いの細い道脇で幾らかまとまった数のトキワツユクサが見られたので、晴れて野生種扱いで載ることになった。

トキワツユクサは南米原産で、昭和初期に観賞用として持ち込まれたようだが、その後野生化して、要注意外来生物に指定されている。初秋に咲く青いツユクサ同様、このトキワツユクサもこの界隈では見ることは少ない。(別名:ノハカタカラクサ)

常盤(トキワ)という名前は、通常には常緑の意味を指すが、ここでは果たして冬期も葉が青いという意味から名付けられたものかどうかには若干疑問もある。青い花弁が際立つツユクサの方は、朝開花すると昼頃にはもう凋んでしまうような花だが、このトキワツユクサは夕方も未だ咲いている。ツユクサでイメージされる朝の内の花という印象とは違って、一日中開花している花ということからトキワツユクサとされたのではないかという想像も働く。


ここから下の4枚は、2014年の6月初めに京急から六郷橋に抜ける小道の脇で撮った。このころは春の草花について概ね整理がつき、いよいよ残る唯一の難題であるギシギシ類の分類に取掛っていた。前日は3時間かけて花を撮りまくったのだが、何故かISOの設定が最大感度の3200に入ってしまっていて、写真は皆露出過多で使い物にならなかった。5月末日ながら気温が日中最大33度を超える異常な高温で、汗びっしょりという行程だったが、写真がこうした体たらくでは撮り直しもやむをえず、この日は同じ経路ながら、先を短縮して早めに切り上げる積りで出た。
川沿いの荒れ地ではギシギシ類はすでに痩果も終わろうかという段階なので、もうこの時期ではとても花は撮れない。狙いは除草される場所でその後に出てきたものだが、西六郷方面の河川敷ではアレチギシギシばかりのようで、できれば青いものを撮りたいと思って下手に向かった。ギシギシ自身は多摩川緑地のJR側の端で、刈られた後に出てきたものが丁度いい花の時点にきていたが、六郷橋下でタチバナミズキの花を撮る必要もあって、足早に六郷橋に向かった。

六郷橋に出るには堤防下の道路を京急鉄橋の手前で折れて、鉄橋下を水路の方面に進む。京急の鉄橋下は半湿地となって、古くから知る人ぞ知る野草の宝庫で、最近までタコノアシやサンカクイ、ホソイなどもあったが、鉄橋の耐震補強工事のためにすべて掘削除去されて、橋脚の補強工事と共に下も土が入れられて草地は消滅した。その後草自身は復活してきているが、貴重なものが蘇る訳ではなく、やがて湿気た環境になって何が復活するかは要注意だが、何故か京急は鉄橋下をロープを張って立ち入り禁止と表示している。かつてミゾコウジュなどが見られたJR側も似たような扱いをしているので、HLの侵入を警戒しているのかも知れない。

水路に近づくとロープの切れ目があって、そこに新たな通路が指定されている。近年ここでは川ッぷちは草茫々で通行できず、HLが定住しているヤゝ手前が岸辺の散策路代わりの通路とされている。HL村に入って行くような雰囲気で、知らない人は入って行くことが躊躇されるかもしれない。ここを行くのは河川敷にあるゴルフ打ちっ放しの裏手を行くことになり、途中に三叉路があって、ゴルフフェンス裏に出る道と川沿いに六郷橋下に出る道に岐れる。川沿いの道は以前からある道だが、、鬱蒼とした木の中のトンネルのような場所を行くので、人気も無いことから、土地勘のない人には通行が憚られるような通路である。

以前はここに定住するHL屋敷に野犬のような怖い犬を閉じ込めた犬小屋があり、これを放したりするケースがあって、こちらも何らかの”武器”を手持ちしていないと不安な時期もあった。然しさすがに相手もそこまで私物化を進めれば国によって追い出される口実にもなることから、警告されたのかどうかは知らないが、ここ数年は全く犬の気配は無くなった。
この道の京急側の入口辺りにはクサノオウがあり、六郷橋に近い方のトンネルを抜けた辺りにクサイチゴがあって、出口にヒメカジイチゴの集団があり、そこが六郷橋の下になっていて、この周辺も何かと珍しい種が見られる可能性のある場所で、この年はタネツケバナなどを撮っていたが、クサイチゴのある近くでこのトキワツユクサを見付けた。猛暑の中を出直してタチバナモドキを撮りにきたのだが、こんな行き掛けの駄賃があるとは思わなかった。

ここからの2枚は上から3枚目までと同じ場所で、次の年の2015年5月14日の撮影。堤防の裏面の法尻辺りにパラパラとあって、除草を免れたのか、除草後出たものかは確認できていない。


ここからの3枚は上と同じ場所で、撮影は2015年5月17日。
ここのトキワツユクサのことは忘れていたが、たまたまキイチゴ類の実を撮る積りで入ったところ、これを見付けた。集合の規模はほゞ前年並みという感じだった。
相変わらず薄暗いような場所を好み、前年と比べ特に変わったことは無かったが、折角だからと思い、この年の分として花のズームのみを撮った。



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