<参考36> 河川敷の夏から秋にかけての草木と花
【ツユクサ科】 ムラサキツユクサ属 : トキワツユクサ
常盤(トキワ)という名前は、通常には常緑の意味を指すが、ここでは果たして冬期も葉が青いという意味から名付けられたものかどうかには若干疑問もある。青い花弁が際立つツユクサの方は、朝開花すると昼頃にはもう凋んでしまうような花だが、このトキワツユクサは夕方も未だ咲いている。ツユクサでイメージされる朝の内の花という印象とは違って、一日中開花している花ということからトキワツユクサとされたのではないかという想像も働く。
チョコチョコ覗いて、今は何が見られるかなと期待するところだが、3月初旬位までスイセンが咲いていた(この年は強風続きで殆ど倒れた状態だった)場所に、5月下旬にはトキワツユクサが見られた。
ここでしか見られないとなると参考レベルの取り扱いになるか迷うところだが、一週間後に、偶々京急から六郷橋に抜ける川沿いの細い道脇で幾らかまとまった数のトキワツユクサが見られたので、晴れて野生種扱いで載ることになった。
川沿いの荒れ地ではギシギシ類はすでに痩果も終わろうかという段階なので、もうこの時期ではとても花は撮れない。狙いは除草される場所でその後に出てきたものだが、西六郷方面の河川敷ではアレチギシギシばかりのようで、できれば青いものを撮りたいと思って下手に向かった。ギシギシ自身は多摩川緑地のJR側の端で、刈られた後に出てきたものが丁度いい花の時点にきていたが、六郷橋下でタチバナミズキの花を撮る必要もあって、足早に六郷橋に向かった。
この道の京急側の入口辺りにはクサノオウがあり、六郷橋に近い方のトンネルを抜けた辺りにクサイチゴがあって、出口にヒメカジイチゴの集団があり、そこが六郷橋の下になっていて、この周辺も何かと珍しい種が見られる可能性のある場所で、この年はタネツケバナなどを撮っていたが、クサイチゴのある近くでこのトキワツユクサを見付けた。猛暑の中を出直してタチバナモドキを撮りにきたのだが、こんな行き掛けの駄賃があるとは思わなかった。
ここのトキワツユクサのことは忘れていたが、たまたまキイチゴ類の実を撮る積りで入ったところ、これを見付けた。集合の規模はほゞ前年並みという感じだった。
相変わらず薄暗いような場所を好み、前年と比べ特に変わったことは無かったが、折角だからと思い、この年の分として花のズームのみを撮った。