<参考26> 河川敷の春から初夏にかけての草木と花
【キク科】 ニガナ属 : イワニガナ・オオジシバリ
【キク科】 ハルシャギク属 : ハルシャギク・オオキンケイギク
【キク科】 オオハンゴウソウ属 : アラゲハンゴウソウ
アラゲハンゴウソウはオオハンゴウソウ属の一種だが、環境省の特定外来生物一覧では、オオハンゴウソウ属は全て種類名証明書の添付が必要な生物に指定されているので該当する。
左の写真は2013年7月にガス橋下手の川沿いの荒地の中で、一部人為的な関与が伺われる雰囲気のある辺りに”自生”していたものを撮った。
同属の種別は根生葉の形で見分ける。スケボー広場近くでは、葉が丸みを帯びたスプーン状でジシバリ。トミンタワー前辺りでは、葉はヘラ状で幾分角ばり波打ちもあるのでオオジシバリ。(ただ双方は花の大きさに差はなく、実際には交雑が進んで、図鑑が示すような厳密な種別は意味を失っているかもしれない。)
この辺りは前からジシバリやオオジシバリが見られた場所ではあったが、これほどの群生はこの時が初めてで、遠目にはカタバミかなと思って近付くとジシバリの綺麗な集合だった。(実際この年法面にはカタバミの群生する場所もあった。)
正直に言えばジシバリとオオジシバリの区別には自信は無い。ただこの界隈では、花の大きめのものと小さめのものが見られるので、単純に大きい方をオオジシバリとしているに過ぎない。
2枚目は同じ2004年の4月下旬に上の群生地よりやゝ下手の法尻を外れた平面の方で撮った。多摩川緑地の上手に隣接して大田区民広場と称されるトラックを擁した広場があり、多摩川大橋の側から下って川は大きく右に湾曲し、その間区民広場に至るまで(安養寺の前辺りまで)は河川敷は狭く、草地になっていて多様な草花が見られ、その中にカタバミもありジシバリもあった。
2枚目と3枚目の写真はいずれも六郷橋より下手側の護岸縁などで4月10日に撮ったもので、こちらで見られたものは全て花が小さめだったためこちらに載せた。
ジシバリの葉は丸乃至卵円形で葉柄が長く、一方オオジシバリの葉はヘラ状乃至楕円形で、時として葉柄に近い部分に羽状の切れ込みが入ったりするらしい。
2015年までに載せているここの写真の仕訳はいい加減だが、今後は葉をよく観察して、識別した上で載せるようにしていきたい。
ハルシャギクは花弁が黄色いコスモスに似た花で、輪生の羽状葉に独特な芳香をもつ一年草。花壇を逃げ出し、今では河川敷でも野生化したものがパラパラ見られるようになった。
痩せた土壌に強そうなので、広がりそうな予感がする。
当時の中洲は未だ満潮時には全表面が水没する高さでしかなく、表面にコケが生えても直に洗われて又地面に戻るなどのことを繰返していたが、2004年に初めて実生から芽生えたと思われるヨシが定着し、翌年から広がりを始めつつあったが、2005年までは中洲表面の大半は未だ裸だった。
ところが2006年に中洲の高いところの表面で一斉に芽生えが起こり、イセウキヤガラ、カヤツリグサ、ウシオハナツメクサ、ヒメガマなどの湿性植物だけではなく、スカシタゴボウレベルの湿った土地を好む種類も多く生育し、正に百花繚乱状態が出現した。その中にあったハルシャギクの写真である。
百花繚乱状態はこの年限りで、翌年は一部でイセウキヤガラの抵抗はあったものの、大半の部分はヨシに制圧され、2008年以降は完全なヨシ群落となって、2013年にはそれまで空いていた六郷橋側のヨシ群落との間も繋がって双方は一体化したように見える。
左の3枚は2013年6月18日に多摩川緑地から多摩川大橋に向う護岸縁で撮ったもので、この年には京急の鉄橋下で初めて群生が見られるなど、結構繁栄した年だった。
敢えて撮ろうと思ったのは、中心部が紅く周囲が黄色いオーソドックスな色合いのものの中に、ほゞ赤一色という花が散見されたためで、6月24日に、オーソドックスは色のものの中に、僅かながら、こんなのもあったという意味で撮っておいたのが、左に載せた3枚である。
下の載せたアラゲハンゴウソウ同様、環境省の特定外来生物一覧では、ハルシャギク属の全てが種類名証明書の添付が必要な生物に指定されている。この写真も2013年7月に下のアラゲハンゴウソウ同様ガス橋下手の川沿いの荒地の中で撮った。(上の2枚は7月だが、3枚目は11月初めの様子である。)
ここまでの中間には多摩川大橋近傍の草花豊かな場所があり、その辺りでは未だオオキンケイギクを見ていない。またこの辺の堤防は裏側の法面が、道路になっている地表からは高さ1.5メートルほごがコンクリート張りになっていて、その頂上部に近隣の住民が植木鉢を置いたりしていることがあり、この一カ所だけで、遂にこの辺りまでオオキンケイギクが来た、ということになるのかどうか一概には言えない。
ただこの近傍でこの花を見るのは多分初めてであり、この数株がキッカケとなって、この後一気に広がっていく恐れが無いとも言えない。
7月前後に開花する。花径は8cm前後、草丈は50cm程度か。
昭和の初め頃渡来し北海道の牧場や東北地方の原野に定着した後関東に広がり、現在では近畿地方や四国にも野生化したものが見られるとされる。