<参考36> 河川敷の夏から秋にかけての草木と花
【ツユクサ科】 ツユクサ属 : ツユクサ
左の1枚は苞葉のほゞ真上から見たもので、中が少し見えている。苞葉の端の外側には、終わった花の痕跡が見えている。先端に見える白毛は、メシベかオシベか分からないが、役割を終えた後のいずれかの花糸が巻き上がった残骸と思われる。青紫色の花弁は凋んで縮まり、半透明の萼片がこれらを被い仕舞う前段階の姿と思われる。
原産地は東アジアで、日本にも古来よりあって、儚い恋の表現として万葉集などにも多く歌われている(当時の名称は月草)。外来種ではない訳だが、背丈は低く、茫々の荒地で競合出来るようなタイプではないので、川沿いで生育できる環境はそう多いということはない。
その一方何故か、堤防の改修などが行われて、新しい芝が植えられたりした直後の法面で、アメリカイヌホウズキなどと共に見かけるケースも多い。
左の写真上から3枚は初めてツユクサを撮った時のもので、2013年10月6日の撮影で、時刻は11時49分と記録されている。この時刻でも未だこの程度(半分以上)咲いているという証拠になる。
場所は多摩川緑地の水路側の土手下を行く散策路沿いで、カキノキのマサキの中間辺りの土手の法尻にやゝまとまってある。
緑色の2枚貝のような苞が開いて花を出す。花弁は上側の青紫色の2枚が際立つが、下向きにも1枚白い花弁があり全部で3枚。白い花被片の後ろに3枚の白い半透明の萼片がある。
長い花糸が下向きに3本あるが、1本はメシベで葯を付けたオシベが2本並ぶ。オシベはこの長い2本の他に中途までの1本と付け根近くに留まる3本の合計6本がある。この3種のオシベに付く葯の形は異なる。主要な葯は長い2本に付くもので、中間までの1本の葯は花粉が少なく、短いオシベに付くπ字形の葯は全く花粉を出さない飾りの役目だと言われている。
アサガオのお蔭で朝出ることになり、最初の2枚は行く途中で撮り、後の2枚はアサガオを撮り終えた後の帰りがてらに又撮ったためこの時間になった。ツユクサの場合には7時台でも8時台でも色合いに殆ど差は感じられない。
ツユクサの花については2013年に撮り、2014年にも何日か追いかけて結構写真を多く撮った。とった写真は2014年にこのページに上げていた。然し他の種類の整理に追われてコメント欄は白紙のままだった。2015年の秋には未だそのような写真だけが上がっている種類は結構多かったが、何故かこのツユクサの午後の姿の事は記憶に薄かった。そのせいで、午後のこの草を撮って、再び先生に種名を聞くという醜態を演じてしまった。
ツユクサの花のイメージが明瞭で、逆に言えば2枚貝のような苞葉についての記憶が鮮明でなく、殆ど午後にばかり出歩いていることから、この苞葉の群集を見ても、ツユクサのことを思い起こすまでに至らなかった。
自分の苦い経験から、似たような人が出ないように、2015年9月には、あえて花の無い午後のツユクサを積極的に撮って、追記として載せておくことにした次第である。(左の写真1枚は、2015年9月20日、トビハゼの生息地として貴重な、右岸の殿町にある湾入部が堤防工事後どうなったか確認に行った序に、そこの堤防法面で撮った。どこにでもあるという例であり、深い意味は無い。)
よく見れば2枚貝のような特徴的な苞葉の端に青紫色のものがチラチラ見えている。そこで全体的な景観だけでなく、もう少し細かく見ていこうと思い、前に撮った写真を見直すと共に、新たにズーム写真も撮ることにした。
一方苞葉の中には若い果実と思われるものが一つ見えている。
左の1枚は未だ花弁を丸め込んだ萼が完全に閉じきっておらず、僅かに濃紺の色が覗いている。