<参考36>  河川敷の春から初夏にかけての草木と花


     【ヤマノイモ科】  ヤマノイモ属 : ナガイモ

 

このナガイモは2014年7月初旬に南六郷3丁目の河川敷と低水路の間に放置された荒れ地の一帯の中で撮った。場所は概ね雑色ポンプ所の向かい辺りだっ程度の記憶しかなく、これを撮った後日、詳しく調べて回ったが遂に発見出来なかった。この年は以上気象と言われ続けた気候の影響があってか、植生にも例年と異なる変化が多く、木本が絡むこの辺りのような藪では、アレチウリやクズなどのツル植物が猛威を発揮して周辺を食い潰す勢いだった。ヘクソカズラやヤブガラシなどは共に競い合っていたが、ナガイモは逆にこれらの繁栄に駆逐されてしまったのかも知れない。木本でもマユミの小木をこの界隈で撮っていたがこれも見失ってしまった。
マユミの方はあの変わった形の実を多くぶらさげていたが、花は撮っていないので今回は見送り、多年草でまた来年確認されるかも知れないナガイモの方だけ収載しておくことにした。

ナガイモの葉は見ての通り、基部が左右に大きく張り出し、艶のある厚手のもので、すらっとしたハート型で三角形のように先のとがったヤマノイモの葉とは印象が異なり、基部に大きな窪みのない卵型に似た葉のヘクソカズラともかなり異なる。
然し念のため葉をひっくり返し裏を見たところが2枚目の写真で、托葉のようなものが無いことを確認した。
表は艶があって緑も色濃いが、裏は白っぽく薄緑色である。ツルの感じはヘクソカズラに似ている。が奥の方を見ると丸い球のようなものが一杯付いていて、ヘクソカズラとは明らかに異なる。これはナガイモの雄花でカラムシと似た印象だが、ナガイモは雌雄異株で、玉のような雄花を付けたものは雄株で、カラムシのように先の方には雌花があるということはない。

ナガイモはヤマイモと紛らわしいが、両者は同じヤマノイモ属の別種である。漢方薬で「山薬」として使用されるのはこのナガイモで、我が国には中国から渡来し、栽培されて細長く伸びた根茎を摩り下ろし食用にしている。一般に「自然薯」(じねんじょ)と呼ばれ高級感のある「山芋」(やまいも)の方は日本原産の野生種でナガイモとは別種である。




雄花は上に向かって伸びていき、雌花の方は下に垂れ下がるように咲くという。ただし雄花は球状で開いたところは殆ど見られないとされ、ここでも雄花はオシベや葯などが一切確認できない単なる玉だった。

これは翌日に追加撮影した時のもの。これからしばらくはここを通り過ぎていた。結局その間にアレチウリなどが急伸することになって、この辺りの様相が一変し、ンサガイモやマユミを見失う結果になってしまった。

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