<参考36>  河川敷の春から初夏にかけての草木と花


     【ガガイモ科】  ガガイモ属 : ガガイモ

 

ガガイモ科は遺伝子解析に基づくAPG体系による分類ではキョウチクトウ科に含まれることになっているが、ここでは多くの図鑑に従いガガイモ科として独立させておく。
ガガイモの学名は、Metaplexis japonica (Thunb.) Makino となっている。即ち、この命名者はカール・ツンベルク(Carl Peter Thunberg)であり、記載したのは牧野富太郎博士ということになる。(ツンベルクについては、同じく彼が命名したとされるアカメガシワの項に略歴を記載してある。)
ガガイモ自身は日本を含む東アジアに分布するが、ガガイモ科は大きなグループで、属する植物は特に熱帯から亜熱帯に多く分布し、約250属2700種を含むという。

ガガイモはつる性の多年草で、地下茎を長く伸ばす。花期は真夏で、淡紅紫色の花を総状につける。花冠は1cm 程度だが、ヒトデのような印象の反り返った5弁花に白毛が密生する、一寸見には気味の悪い花で、やゝ臭気を感じさせる。
固有種か史前帰化植物かは分からないが、神話にも登場する植物として知られ(種子の形が引用される)、古くは生薬として使われ、食用にもされた。名前の由来は不明だが、実体としてはつる植物ではあるもののイモの範疇ではない。
花冠の中心部にはオシベとメシベが合体したずい柱があり、ヒョロヒョロ伸びている柱頭がメシベで、ずい柱の太くなった基部の中心に子房があり、周辺部に葯があって昆虫を誘い込むようになっているらしい。

花冠が白色のものをシロバナガガイモという。

これを撮った時期は2014年8月下旬で、場所は多摩川緑地の川上側に隣接する大田区民広場の川上の端で、散策路を隔てて向かい合う本流側の荒れ地の中。2か所に小さな群生地があり、散策路側に面し見付けるのは困難ではない。
赤紫の色が印象を損ねている感じで、シロバナだったら品があって結構いいかもしれないと思わせる。








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