<参考36> 河川敷の夏から秋にかけての草木と花
【ヒルガオ科】 サツマイモ属 : アメリカアサガオ・マルバアサガオ・マメアサガオ・ホシアサガオ
アサガオは奈良時代か平安時代の頃に、大陸から遣唐使が持ち帰ったものが起原とみなされるが、江戸時代に、キクやショウブと並んで園芸種として大変もてはやされたので、新たにアメリカ熱帯地方原産の外来種が導入され、独自の交配種も数多く誕生し、現在荒地に野化しているものがかなり見られるものの、古典園芸種であったアサガオがどの程度混じっているのかは全く分からない。
このマメアサガオの種子は、2015年の11月下旬に入る頃、南六郷でマユミの果実を撮り、ホシアサガオの果実を撮るなどした日に、偶々前年にマメアサガオを撮った護岸を分け入ったところ、クコの小枝に巻き付くなどしたアサガオの蔓を見付け、場所の一致や種子の大きさからマメアサガオと推測した。
朝早くから動くのは苦手なもので、早朝には中々出られなかった。然し実態を確かめるには朝のうちに行かないと花は窄んでしまうのでどうにもならない。止むを得ず9月2日に頑張って朝に出たものの、現場に付いたのは9時がやっとという遅さだった。
アメリカアサガオの葉は両側に深い切れ込みがある3裂型が特徴。ただし、中には切れ込みの無い葉のものもあるようなのだが、その場合はわざわざマルバアメリカアサガオと称するようなので、マルバアサガオとは葉をもって区別している訳ではないようで、マルバアサガオは全く別物ということになる。
葉に深裂のある方は上にアメリカアサガオとして載せたので、ここでは丸葉の方を載せている。花の大きさはアメリカアサガオとほゞ同一で、色も青系統のものと紫系統のものが双方に見られる。しかも9時を過ぎる頃には、もう色褪せが始まってくるので、何が正確な色なのかも分からない状態で、花をもって何の違いも決められない。したがってこれがマルバアメリカアサガオなのか、マルバアサガオなのかは分からないが、一応マルバアサガオとして載せておくことにした。
マルバアサガオの花の色については、遺伝子的に優劣が無く、交雑するとF1個体は中間色の花の色を出すという。対立遺伝子の間に優劣が見られない場合を「不完全優性」、両親の中間の形質を持つF1個体を「中間雑種」と呼ぶ。
マメアサガオは花の大きさがマルバアサガオなどの半分程度しかなく、花弁の直径は2センチ程度で色は白色。
左の写真12枚目までの花の撮影日は全て2014年9月14日で、時刻は8時10分から15分頃である。
窄んだ花は、花弁の先が巻き込まれてしまっているので、定かではなかったがアサガオのような印象を受けた。然し、今まで河川敷側の散策路沿いの草地でアサガオを見たことは無く、もう10月も終わりに近づいていた時期だったので、アサガオというのはチョットどうかと思ったが、他に想像できるものがなく、朝早くに来て見るしかないと思っていた。
朝から動くのは弱いタイプなので、何かと先延ばしにしていたが、10月28日に一念発起し朝起きして花を撮りに行った。
やはりアサガオのようだったが、結構広い範囲に、今を盛りと咲いている一方、もう実が出来ている枝も結構あった。花はピンク色だったが、ロートの底は赤紫が濃く、葯は白いなど、特徴はホシアサガオによく似ていた。
ただホシアサガオは西日本に多く分布しているとされ、ネット上でもこれを載せているHPは皆関西方面のサイトばかりというのが現状。マメアサガオにも赤いものがあり、関東ではベニバナマメアサガオをホシアサガオと見間違う人が多いという記述もあったりする。
それにしても何故このように遅い時期にアサガオなのか。巻き付いている相手は殆どがコセンダングサでオオオナモミも低いものは少し見られた。結構広い範囲一面にピンク色の花が咲いて見慣れない光景だった。
それまでここにはヘクソカズラ(ヤイトバナ)のまとまった群集があって、何度かここでヤイトバナの花や実を撮影していた。焼けた幅は川に沿って50メートル程度で、散策路から低水護岸までが完全に焼けていた。HLが居る場所ではなく、意図的に焼く意味も考えにくいことから、何故焼けたのか原因は思い当たらなかった。
この焼けた範囲の中央部の護岸縁に中程度のオニグルミの木があり、そのオニグルミを頼りに、この辺りでは珍しいテリハノイバラが立ち上がっていて、その花も撮った記憶があった。テリハノイバラはこの火事によって焼けて枯れてしまったが、オニグルミの方は幹の表皮に焼け痕は出来ていたが、その後に生き残ったことが確認されていた。
オニグルミの方は、護岸際にそれらしい木があったが、表皮に焼けた痕跡などは認められず、焼け残ったあのオニグルミであるのかどうか断定は出来なかった。
時期がこんなに遅く、しかしかなりの広範囲に、あまりポピュラーとは言えないホシアサガオが何故咲き群れているのか、不思議としか言いようがない。焼け跡なればこその攪乱気味の生態であるのかどうか、そのことは2016年を見てみなければ何とも言えない。
若い果実は白っぽく、萼は果実を抱くように上を向いている。
広くホシアサガオの果実が展開するこの一画では、白っぽく未だ日が浅い果実から、熟しきって茶色くなった、種子の出現間近と見られる、ヒビ割れが入り掛かったものまで、多様な段階の果実が見られた。