<参考36> 河川敷の夏から秋にかけての草木と花
【タデ科】 イタドリ属 : イタドリ
イタドリの特徴の一つに、茎に見られる赤い縞模様がある。茎は細いものにも、一定間隔で節のような出っ張りが生じ、その部分が紅く色づく。この独特な印象によって、素人でもイタドリを見分けることが出来る。ここのイタドリでもこの特徴は顕著に認められる。
場所は六郷橋緑地の川沿いの散策路沿いの荒地で、雑色ポンプ所よりは上手の位置。この日は六郷水門の方からの上りで、オナモミやセンダングサ類を撮ってきたが、雑色ポンプ所を過ぎた所に白いヒガンバナがあって、これがメインの対象だった。これを過ぎると道脇の荒れ地の中に何やら白い花が目立ったので近づいて撮った。この場所にイタドリが結構多くあったことは記憶にあったが、イタドリの花がどんなものかは知らない頃で、こんなところにあったという記録の意味で周囲の雰囲気を撮り、白い花はこれが花だと思ってズームも入れて結構撮った。
然し後になって、これは花ではなく、果実だと知った。
イタドリは肥沃な土壌では2メートルほどの丈になり、茎は太く中空で節があり竹のような感じの茎になるというが、ここではそのような印象を与えるような姿に生育しているとは言えない。
この時期は木本のアカメガシワも新芽を出す季節で、アカメガシワの場合は同じ赤でもやゝレンガ色掛かったような赤だが、イタドリの場合は紫色掛かったような赤だ。
いずれにしても、若い新芽の時期に見られる赤色色素(アントシアニン)は、紅葉や果実の熟した場合のように、1年の活動の終期に生成されるものとは全く意味が異なる。新芽時のアントシアニンは、未だ未完成な葉緑素を守るために、紫外線による活性酸素の発生を防ぐためのフィルターのような役割を果たすもので、葉が十分に成長してくるとアントシアニンは退化し、葉緑体の葉緑素が直に現れて緑色を呈するようになる。
上の赤い新芽を撮った場所とは少し離れているが、時期的には上の赤い新芽から2週間乃至20日ほど経った後ということになる。この頃のイタドリはもう緑一色で、葉が大きく丈が出てくるだけに堤防法面では目立つ存在になる。
これらの法面のイタドリは最初の除草時期までの存在で、地上部はこの後何度も刈られるので、大きく成長することはなく、やがてセイバンモロコシが全面を被う時期になれば存在感は無くなる。
左の写真は2014年9月9日の撮影で、場所は前年に果実が枝垂れるほど見られたところと同じ六郷橋緑地先の荒地。
花は開いた感じではなかったが、早い内にと思って撮ったのがこの写真で、近づいてズームで撮ったものが下に載せたものである。
然し下に2枚載せたが、ズームで撮ったものをよく見ると、今回の場合も皆オシベが明瞭で雄花だったことが分かる。
サプリメント類は健康保険制度が整っていないアメリカで、病気予防の観点から開発され販売されているものが多いのが実態である。トランスレスベラトロールを抽出するための主要な原料はブドウの皮や赤ワインなどであるが、トランスレスベラトロールはイタドリからも抽出出来ることが知られていて、実際にイタドリから抽出されたトランスレスベラトロール入りのサプリメントが多く出回っている。(ブドウやワインからの抽出では高価になるため、一粒あたりのレスベラトロール含有量が多い割りには安価で売られている製品では、イタドリを原料にしているケースが多いとされる。)
(サプリメントの選択時には添加物のチェックが欠かせないが、天然原料から有用成分を抽出する場合、日本の食品衛生法では、毒性を持つアセトンを使用することは禁止されており、水乃至エタノールで抽出したことが明記されているものを選ばなければならない。)
何故か、イタドリから抽出されたレスベラトロールサプリメントは、日本では認可されておらず違法な存在である。(イタドリの根は日本では生薬として使われていた経緯があり、イタドリを原料にしたものは医薬品扱いとなる。そのためサプリメントを食品として扱っている日本では、イタドリはサプリメントの原料には使えない・・・という説明を見たことがあるが、それが日本の厚生省がイタドリから抽出されたレスベラトロールサプリメントを認可していない本当の理由であるのかどうかは知らない。)
アメリカでエビデンス(臨床実績)が明確となったサプリメントが、日本国内でも追随して作られるケースは少なくないが、インターネット通販では、個人輸入という形を採って直接購入できるものが多い。レスベラトロールサプリメントも直輸入の形で入手できるものが普及していて、レスベラトロールの含有量が多いものでは、イタドリを原料に抽出されたトランスレスベラトロールが使われているケースが殆どと言っても過言ではないようだ。
2016年は初秋から忘れずに必ずイタドリをウオッチし、徹底的に雌花を撮るという課題が明瞭になった。
この日当地に出かけた主要な目的はセンニンソウの果実を撮ることだった。この辺りは何度か来ているとはいえ、季節は様々で普段見慣れた場所と言えるほどではなく、いきなり現れたこの植物は、木本とも草本とも分からない雰囲気で、感覚的に目新しい種類に見えてしまった。
この写真はイタドリの紹介としては余り意味の無い写真だが、上記のことがあって、私にとっては忘れられない戒めの写真になった。3年間イタドリを撮ってはきたが、関心は薄くマイナーな扱いで、いつも形式的に撮っていたに過ぎず、深く観察することが無かった。この写真は、そのことを気付かせ大いに反省するきっかけとなった写真ということで敢えて載せておくことにした。
これまでの観察では、その辺りの事情がどうなっているのか、見極めようともしていなかった。よく見れば、2014年の咲き始めの花を撮った中の、未だ開き切っていないが・・・として載せている写真にはオシベの目立ちが無く、その点でこれが雌花であった可能性がある。
つまりあそこには雌株と雄株の双方があり、それぞれの花期は微妙にズレている可能性があるのではないか。それらの点の解明を含め、2016年にはきちっとした観察を行うという心積もりをした。
【タデ科】 ソバ属 : シャクチリソバ
薬草としての原典は、「本草綱目」(16世紀に明朝の李時珍により編纂された)にある「赤地利」で、これにより和名も牧野富太郎により赤地利蕎麦と命名された。
シャクチリソバはソバ属に属するが、種子は食用にならず、葉や宿根が薬用にされる。秋に白い花を付け冬場は地上部は枯れるが、春に同じ場所に地上部を出し、ほゞ正三角形(尖ったハート型)の葉を密に展葉し、こんもりとまとまった姿格好になる。
岸辺の散策路と水路の間は、六郷の橋梁群から上手側には、多摩川緑地がゴルフ場だった時代の名残の玉止め用の土手があり、今では土手の上にはHRの居宅が続き、所々で本流が覗く場所があるという状況だが、区民広場まで来ると土手も消滅し、丈の高い草の群落が途切れると、本流側が開けた場所になる。シャクチリソバはそんな場所で見られた。
左の写真は上から3枚は10月9日の撮影。
左の2枚は2014年4月19日に、多摩緑地から多摩川大橋に向かう途上、低水部植生護岸の中間部にあるものを撮った。花は秋10月頃なのに、もうこの時期かからすっかり出来上がっているのを見て奇異にさえ感じた。
この年はここまでで、2015年はシャクチリソバを全く撮っておらず、2016年にはシャクチリソバを実まで追いかけて撮っておくことが課題として残った。